腰が抜けた市会議員

 これは、私が所属していた当時の伏見稲荷大社講務本庁の支部講員さんの体験談。

 この方の御職業は市会議員。ある梅雨時の頃、この方は女先生のお供をして伏見稲荷
山に上がられたそうです。通常は伏見稲荷大社の奥社から熊鷹社に上がる道が一般的。
普段だと、非常に参拝者の数が多いのですが、その日に限ってまばらな参拝者だったと云
われます。熊鷹社は階段を上がったところはTの字の道になっています。
 その階段を上がっていると、階段の頂上に後ろ向きになった白い大きなぬいぐるみのよ
うなものが見えて来たそうです。何だろうと思ったが女先生は何も云わないので、そのまま
に階段を上って行ったところ、その大きな白いぬいぐるみかと思ったものがくるりとこちらを
向いたと云われます。
 見ると、大きな白狐があぐらをかいて座った状態で半回転をしたそうです。そして、その首
から江戸時代の子供が腹巻き代わりに使っていた菱形の赤い布に[豊川]と書かれた文
字がぶら下がっていたそうです。その途端、その市会議員さんは驚きのあまりに腰が抜け
てしまったと云われます。
 すると、女先生は誰々さん(市会議員さん)。白狐さんを見られてよかったですねと笑った
と云われます。しかし、その市会議員さんは腰が抜けてしまった為に、立ち上がれるまで
が大変だったと云われます。

 これも白狐さんを見た話。私が稲荷講に所属していた時、一緒に行を積んだ方ではある
のですが、しばらくしてその講を離れて違う先生に師事して、今は不動明王様の御代とし
て教会を持って活躍されている方の話。
 私達と離れられた後、ある先生と一緒に行をしている時、柴犬程度の白狐さんを見られ
たと云われます。すると、その先生は実際の白狐を見るなどとてつもない出来事。貴女は
たいした行者だと誉めて貰えたと云われます。

 私が綾部藩の殿様であった九鬼氏が建立したとされる天之御中主社の側に住んでいた
時の話。私の家は四つ尾山(大本教では世継山)の山麓の高台にありました。夕方、普通
ならば自家用車で帰宅なのですが、その時は京都出張から帰って来た為に徒歩で山の麓
に上がって来ました。
 すると、左方から二匹の巨体の真っ白い犬がやって来ます。どうも夫婦犬のようです。大
きさは小型の方が雌らしく、それでも大きさは犬としては一番大きなピレニアンマウンテン
ドッグぐらいはありました。雄はもっと大きく、子牛程度はありました。実にほれぼれとする
純白の毛並み。
 その二匹は車一台が通る程度の小道で私の横を歩いて来ます。私は犬好きですから犬
は恐くはありません。こいつなら背に乗っても乗れそうである。乗ってやろうかと思った
時、?と感じました。
 こんな大きな白い犬が二匹、首輪も無し。飼い主が付き添っていないで散歩をするだろう
か?。しかも夫婦?。一人で一匹制御するにも往生するほどの大きさです。首を傾げたと
ころで私の家の玄関です。?と思って振り返って見ると、その二匹もこちらを振り向きなが
らさらに山へと向かって行きます。その大きな尻尾が地面についています。顔も犬と違っ
てほそっとしています。そこで、初めて白狐と気がついたしだい。
 この四つ尾山の麓には本興稲荷と呼ばれる稲荷社があります。綾部藩の殿様であった
九鬼神道家の九鬼氏の菩提寺の稲荷社であり、大本教開祖出口なおの信仰が厚かった
稲荷社です。大本教の出口なお開祖は、この稲荷社で神示を受けていたのではないかと
の説もあります。 この四つ尾山には白狐が存在していることになります。

 通常、狐とよばれるものは体が大きくはありません。私はある山道で狐と並んで車を併
走させたことがあります。右側に擁壁が続いていた為に狐に逃げ場がなく、私が狐の速度
に合わせて車をコントロールした為に擁壁が切れるところまで狐を見ていましたが柴犬程
度の大きさです。だが、私が見た白狐は遥かに巨体でした。

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