瀧の水切り術

 これは、私が神霊界修業に入って1年目ぐらいの頃の話、私が教えを受けていた女先生
が娘時代に豊岡で一年ばかり毎日修業をされた瀧に瀧行に行こうとなって、8名ほどでそ
の瀧場に向かいました。

 一行は女先生と私と後に不動明王の教会主と成られた御夫婦で一台の車に、後続の車
には支部の幹部一名と有能な霊媒者たる御婦人2名と運転手役の講員さん。瀧場近くの
道路に車を止めて山道に入りました。すると女先生が先頭を行く私に蛇に注意して下さ
い。変わった蛇が出て来たならば歓迎のサインですと声をかけられる。
 しばらく行くと、先頭を行く私と後に奥さんが不動明王の教会主と成られた御主人の前に
見たことも変な模様の蛇が出て来た。二人で変な模様の蛇の出現に顔を見合わせて女先
生を呼んだ。だが、女先生が私達の側に来たときにはその蛇は草むらに入ってしまった。
 女先生は説明をしてくれる。先頭に来るのが男性ならば大きな蛇。女性ならば驚かせな
いように小さな蛇が出て来ます。行をする者は行場に蛇が出るか出ないか気を付けて下さ
い。蛇が出て来た時は瀧場の神様が行を歓迎するとの合図です。行者たる者、蛇の出迎
えを受けないようでは一人前とは言えませんと云われる。
 瀧場に行く道で、女先生は私のことを心配される。この瀧は伏見山の清明瀧のように大
きな瀧ではありませんが、夏場の瀧は危険な瀧になります。私は危険な瀧に疑問を持って
理由を聞くと、水が湧き水の為に夏は冷たく冬は暖かい。貴方の瀧行は脳天受けの為に
夏場の冷たい瀧を危惧していると云われる。
 通常、瀧行をする者は瀧の水を脳天では受けない。瀧の水を脳天で受けるのは危険す
ぎる。支部でも瀧行を指導する時は右肩で般若心経を一巻。左肩で般若心経を一巻。後
頭部の首筋で般若心経を一巻。合計三巻で瀧場から上げるようにしていた。
 ところが、私の場合は最初の瀧行で女先生が首筋に瀧の水が掛かる場所に私を立たせ
たにも関わらず脳天に瀧水が襲って来た。女先生をそれを見て、貴方には瀧行の必要は
無いと云ったが、私から進んで受けると言いました。
 私が女先生の元に来る前、ある霊能者に相談に行ったところ、貴方の背後には見たこと
もない巨大な大神霊団が存在している。私は年老いており貴方の瀧行を指導出来ません
が、瀧行を指導出来る先生を探して瀧行をなされたら如何でしょうかと云われた。
 すると、その霊能者の前に私の家系先祖霊が現れて、私達がこの者に代わって瀧行や
断食行を積んで来たので、この者はそうした荒行を一切積む必要はないと、その霊能者に
告げた。その霊能者は、そう言われても何事も経験ですからと私に瀧行を勧めて来た。
 私が女先生の指導で伏見山の清明瀧で最初の瀧行をした後の某日、女先生と二人で山
に上がって、女先生は自分は伏見稲荷大社講務本庁に用事があるので貴方一人で瀧行
をしなさい。しかし、清明瀧を初心者が一人で受けるのは危険すぎるので、白龍の瀧を受
けなさい。貴方は白龍様の守護を受けておられるので白龍様の御瀧ならば大丈夫ですと
云われる。白龍の瀧とは清瀧の瀧のことである。
 そこで白龍の瀧(清瀧)に一人で入ったら、脳天に瀧の水が襲い懸かって来てアップアッ
プしてしまった。そこで瀧の水から逃げると、瀧の水が私を追っかけて来る。一メートルほ
ど逃げなければならなかった。そのことを女先生に報告すると、やはり貴方は脳天受けに
なっているのですねと云われる。それ以後、私の瀧行は危険きわまりない脳天受けとなっ
てしまった。

 その豊岡の瀧で右肩と左肩に瀧を受けていた時は別に何とも思わなかったが、脳天に
瀧水を受けていると水の冷たさに意識が朦朧として来た。これは危険だ。瀧場から逃げな
いと命を落とすことになる。瀧場から出ようとは思ったが、子供の頃から神に関わる不思議
な人生。女先生は、私を神の子と云ってくれるが、あまりにも辛くて苦しいばかりの人生。
自分は何の為にこの世に生を受けたのだろうか?。
 もし、神霊界が私を必要とするならば、神様が私を助けに来てくれるだろう。そうでない人
間ならば、この瀧場で命を落とすだろう。瀧場で命を落とせば女先生に迷惑をかけるだろ
う。老いた母親に先立つ親不幸を詫びながら、私の瀧の中で自分の命を決めた。
 その時、閉じた私の瞼の中に光が走る。神様が助けに来た!。これで瀧の水を受けきれ
る。すると、もう一つ光が走る。また、どなたか解らないが神様が助けに来られた。そして、
さらに光が入る。3体の神様が私を助けに来られた。これで盤石と思った時、私の脳天に
掛かっていた瀧の水が来なくなった。???。と疑問を持つやいなや、女先生が私を瀧場
から引きずり出した。
 私の瀧行を見ていた○○さんが云う。先生どうしたのですか?。××(私のこと)さんに
掛かっていた瀧の水が急に掛からなくなりました。何が起きたのですか?。すると、女先生
は云う。水切りの術を使って、××さんに掛かる水を切ったのです。それで、瀧の水が掛
からなくなったのです。
 ○○さんが云う。また、どうして先生は水切りの術など使われたのですか?。××さん
(私のこと)が瀧の水を受けておられたら観音様が瀧に飛び込まれたのです。××(私のこ
と)さんの身に何か起きたのかなと思っていると、お不動様も瀧に飛び込まれました。そし
て、稲荷様まで飛んで来られて瀧の中に飛び込まれたのです。それで、××(私のこと)さ
んの身に危険が起きていると解ったので水切りの術を使って、××(私のこと)さんに瀧の
水が掛からないようにしたのです。
 私はそれで、3つの光の主が観音様とお不動様と稲荷神であったことを知った。あの時
点では、もう私は瀧の水を受け続けても大丈夫ではあった。しかし、水切りの術と呼ばれる
瀧の水を切る術があるなど知らなかった。通常は誰も瀧の水を脳天受けはしないので、こ
うした危険はない。
 私は一同が瀧行を終えた後、女先生に聞いた。私を助けに瀧場に入られた観音様とお
不動様と稲荷神はどなたでしたか?。観音様とお不動様はこの瀧場の観音様とお不動
様。稲荷様は伏見稲荷山から飛んで来られましたが、どなたであったのかまでは解りませ
んでしたと言われる。

戻る
戻る