狸と狐による霊障

 ある時、私が教えを受けていた女先生が倒れるという事件が起きた。この女先生が倒れ
た背景には狐霊と狸霊の同時攻撃があった。

 ある日、女先生の元に一人の相談者が訪れた。その相談内容は、受験勉強の為に夜遅
くまで起きている子供さんが、夜になるとお握りを作って夜な夜な夢遊病患者のように家を
出て行く。そこで、おかしいと思って後を付けると、ある場所にそのお握りを置く。子供さん
にその理由を聞くと、本人は自分がした行動を何一つ覚えてはいない。親御さんは思いあ
まって、稲荷神の元に相談にやって来た。このままでは受験勉強に差し障りが出る。
 そこで女先生が稲荷神の神示を伺うと、その人が住む近くの山に隣町の猟師が狐の罠
を仕掛けた。その罠に夫婦の狐が掛かって命を落とした。ところが、その狐夫婦には何匹
かの子供が生まれていた。このままでは親狐を亡くした子狐は生きられない。そこで、親
狐は狐の巣近くにあるこの家の子供さんに憑依してお握りを作り、子狐が餌を食べられる
狐の巣近くにお握りを置かせていた。
 しかし、この問題は尾を引いた。その家の子供さんに憑依をすることを止めなさいと云う
稲荷神の命令に対して、親狐はその行為を止めれば子狐は死んでしまう。子狐が自分で
餌を取れる日までは続けると云う。それならば、狐の罠を仕掛けた猟師に憑依して子狐に
餌を運ばせればとなるのだが、その猟師は車で一時間以上も離れた土地に住む者で憑依
することが現実として難しい。
 稲荷神は子狐達の命の代償として、その狐一家を稲荷神の眷属に登用する代案を出し
た。それで、その問題にケリが付いたと思われていた。

 ある日、女先生の元に別の相談者がやって来た。そこで調べると狸の霊障だった。この
相談者の元に友達がやって来て、自分の車が狸と衝突をした。狸の死骸を狸汁にして食
べたらと持って来た。そこで、その相談者は狸の死骸を狸汁にして食べた。
 私が住む地方では、私が子供の頃には狸汁は特別に珍しい話でもない。しかし、食が豊
富になってからは臭い狸汁は珍しい話である。この地方は、冬場前になると交通事故に出
会った狸の死骸がゴロゴロしている。街中でも狸が走っている。
 その狸霊いわく、交通事故で死んだのは仕方がない。しかし、死んだ俺の肉を食うとは
何事だ!。死んだ後の肉体などどうでもよいではないかの話も、狸霊が怒って怒って収拾
がつかない。そこへ、結果的には子狐を死なせた親狐が女先生を恨み、この時ばかりと狸
霊と狐霊が一緒になって女先生を攻撃した。その霊障を受けて、女先生は一週間ほど寝
込むことになってしまった。

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