屋根裏の柏手音

 稲荷の神様と言うのは五穀の神とも言われます。農業だけでなく、私達が暮らして行く為
の日々の物質を授ける神の意です。
 東北の支部長さんと話している時、その支部は工業地帯の市に支部があり、講員さんの
多くはサラリーマンで、稲荷様でありながらお米や野菜のお供えが少なく、神前のお供え
にお米や野菜を買わなくてはいけないので弱っていますと笑われたことがある。
 普通、稲荷は商売繁盛の神様として知られているので、信仰者は商売人が多い。サラリ
ーマンが主体とは、珍しいのかも知れない。

 私が所属していた支部に秋口に行くと、米の収穫が終わり、30キロの米袋がドンとお供
えされている。農業をしている方からのお米のお供えである。

 私と同じ市に住む方で、そうしたお米をドンとお供えされている講員さんがあった。お話を
聞くと、家の天井裏から柏手の音が聞こえる。初めは空耳かと思っていたが、毎日の様に
柏手が鳴る音が天井裏から聞こえて来る。
 これは変だとなって、支部長先生の元に相談に来られた。すると、天井裏から聞こえて
来るのは末広大神様があなたの家におられるからですとの返事。
 末広大神様と言えば、商売繁盛の神。農家である自分の家にどうして稲荷の末広大神
が居られるのかは解らないがお祭りするということでお祭りをされた。
 すると、その末広大神からの神示は、家で地元の人を雇って縫製工場を立ち上げなさ
い。これまで農業一筋の方にとって、縫製工場を運営するなど門外漢もいいところ。
 いくら神がしなさいと言われても、縫製工場を立ち上げるとなれば資金も要る。失敗する
恐れがないとは断言出来ない。おそるおそる縫製工場を立ち上げられた。
 すると工場は順調に行き、かなりの人を雇うところまで行った。地元の御婦人達にはパ
ートでも働く場所が出来たのである。

 その方いわく。農業一筋の人生と思っていましたが、まさか会社を経営するようになると
は思っていませんでした。農業と会社の経営で忙しいです。神様とは不思議なものですね
と言われる。

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