国常立尊と稲荷神

 一般的に稲荷神と言えば、狐の神じゃないかの声があります。確かに稲荷山に行きます
と、狐像だらけです。この狐は稲荷神の眷属とされるわけです。
 伏見稲荷大社の御祭神は、伏見稲荷大社の公式ホームページを見られても書かれては
いないようです。
 一応、文献などでは宇迦之御魂大神を主祭神とし、佐田彦大神、大宮能売大神、田中大
神、四大神となっているのですが、伏見稲荷山に上がって見ると解りますが、白菊さん、青
木さん、末広さん、権太夫さんなどとなっていて、伏見稲荷大社の神官に聞いても、その違
いの説明はしてくれないでしょう。古来から言われているで終わるでしょう。
 残された記録の上では深草の秦氏族は、和銅4年(711)稲荷山三ケ峰の平らな処に稲
荷神を奉鎮したとあります。だが、それ以前からあったようです。
 この秦一族が京都に下る前、どこを拠点にしていたかと言うことが解らないと、完全には
掴みきれないかも知れません。

 稲荷信仰をする方達の中では、首座神の宇迦之御魂大神は伊勢外宮の「豊受」さまの
ことであるとされます。

 最近、一部で伊勢外宮の豊受様は、国常立尊様の神のラインであると説かれるようにな
っているようですが、以前から伊勢外宮の社家である度会神道では言っています。
 それ以外にも、稲荷神信仰をしている者であるならば、稲荷大神秘文で知っているので
す。

【稲荷大神秘文祝詞】
それ(夫)神は唯一にして、御形(みかた)なし、虚にして、霊有り
天地(あめつち)開闢(ひらけ)て此の方 国常立尊を拝し奉れば
天(あめ)に次玉(つくたま)、地(つち)に次玉(つくたま)、人に次玉(やどるたま)
豊受の神の流れを宇迦之御魂命(うがのみたまのみこと)と、生出給(なりいでたま)う
永く 神納(しんのう)成就なさしめ給えば
天に次玉(つくたま)、地に次玉(つくたま)、人に次玉(やどるたま)
御末を請(うけ)、信ずれば 天狐地狐空狐赤狐白狐・・・
以下略。

 稲荷大神とは宇迦之御魂命(うがのみたまのみこと)ですが、豊受様でもあられます。そ
してその元は、日本書記で創造神とされる国常立尊様ですよとなっています。
 その国常立尊様とは、日本書記では西洋で言う唯一神ですと説かれているのです。ま
た、人に宿る玉として魂の存在も説かれています。
 稲荷講に所属している者であれば、この唯一なる神は国常立尊様。人には魂があるは、
解りきった教えと言えます。
 何も知らない人は、稲荷はきつねだきつねだと言っておられますが、解っている者なら
ば、ここまで解っているのです。

 明治25年、京都府の片田舎綾部町(現在は綾部市)で、出口なおさんと言う老婆に神懸
かりが起きて、その神はウシトラ金神と言いました。このウシトラの金神は国常立尊様であ
るとして、大本教が開教されました。
 そして2代目教主補として、出口王仁三郎という宗教巨人が世に出ました。そして、国常
立尊様の世の立替を大宣伝しました。
 その大本教で聖典とする霊界物語の中に、世の立替にあたって白狐は下郎の役で奉仕
するがあります。
 この内容は非常に奇異に取られたようです。一部には、国常立尊様とは白狐の総帥かと
いう説も出たようです。どうして、万物の創造神とされる国常立尊の手による立替に、白狐
が下郎の役で奉仕するのだとなります。伏見稲荷大社を見ても国常立尊様など奉ってい
ません。?となってしまいます。
 白狐の総帥を国武彦命様と言います。国常立尊様の分身的な存在で、稲荷名としては
豊川稲荷さんと申し上げています。ですから、白狐は国常立尊様の世の立替に当たって
は下郎の役で奉仕するになるのです。また、豊川稲荷さんは鬼で知られる大江山の鬼獄
稲荷さんなのです。
 この稲荷の仕組み、大本教という宗教が出て来ないと解らないことでした。

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