自分の葬式

 これは、私が勤めていた職場の上司から聞いた話。その上司の親戚に田舎の神社で神
主さんをされていた方があった。その方の死にまつわる話で、その神主さんの子供さんか
ら聞かれた話。

 某地方の神社で神主をされていた方があった。その御子息は都会に出ておられた。その
御子息さん達に、ある日に親元に帰って来るようにと指示があった。そこで、子供さん達が
家に帰って来られたら、父親が死に装束で待っている。おとうさん、なんて姿をしていると
なりました。そして周りを見渡すと、障子などは全て張り替えられていた。
 すると、神主であるお父さんは、子供さん達に言われたそうです。今日の何時何分で私
は死ぬことになっている。その時間が神様とのお約束の時間である。
 当然に子供さん達は、親父バカなことを言うなとなります。すると、お父さんは理由を語ら
れた。お父さんの弟(子供さんの叔父)は命が無い病となった。だが、その子供(子供さん
からするといとこ)さんは幼い。弟は、後少しだけ生かして欲しい。兄さん、何とか神様にお
願いして欲しいとの頼みであった。
 そこで神主であるお父さんが神様にお願いされたところ、神様からの返事は、人の寿命
は定まっていて、神と言えどもその願いは聞き届けられない。どうしてもと言うことであれ
ば、神に仕えるそなたの命から弟にその命ぶんだけ移すことになる。そこでお父さんは自
分の命を削って、弟にその分だけ命を渡すでお願いされた。そのことで、自分がこの世に
生きる命が、その分だけ減った。その結果、今日の何時何分で私は命を終える。そう言わ
れたそうです。
 だが、いくら父親が神主をしていて神様と話が出来る方であったとしても、子供さんから
すると信じられる話ではありません。その時間が迫って来た時、お父さんはビールを出さ
れてコップにつぐと、神様との約束で私は好きなビールを飲み終わると旅立つ。そう言って
おいそうにコップのビールを飲み干すと、バタッと倒れられたそうです。
 慌てて、子供さん達がお父さんの側に行って、おとうさんおとうさんと呼びかけていた時、
玄関で人の声がする。そこで、子供さんの一人が玄関に出てみると、葬儀社の方であっ
た。
 エッーと理由を聞くと、お父さんから今日の何時何分にこの家に来てくださいとお電話を
頂いていたものですからと言われたそうです。

 神に仕える行者が自分の命を削って、他の人にその分の命を渡すは、他の霊能者とか
行者さんにもあります。そうした方達は、自分が何時死ぬのかを解っておられます。
 自分に与えられた命を大切にして欲しいわけです。

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