それはある日の伏見稲荷山における祭りの日です。私が所属していた講の御塚には十
数名の講員さんが来ていました。そこで、一同して祝詞奏上。支部長である女先生に御神 霊の降下が始まりだしました。講員さんは一人一人受けておられる御神霊が違います。自 分がお祭りしている御神霊の神示を聞きたいわけです。こうなると、一人一人が長くなるの で、私はさっさっさと自分のお供えを下げて、皆さんとは離れた場所で煙草を吸っていまし た。
すると、女先生と同様に霊媒が出来る女性が私の方にやって来られます。これまで話し
てきた○○さんです。見ると、男の神様が入っているのが解りました。この方は大変優秀 な霊媒で、自分の体を神霊に委ねている時は一切の記憶をされていません。私が初めて 伏見稲荷山に上がった時、白狐踊りをされた霊媒さんです。四国小豆島で太鼓を叩かれ た方です。空中に体が飛ぶトンボが出来る霊媒さんです。そんじょそこらの霊媒とは違い ます。
霊媒と言われる方は世にありますが、トンボが出来る方となると数が減ります。へたな霊
媒を育ててしまいますと、霊媒の言うことに振り回されてしまうことになりかねくせん。世間 に霊能者として看板上げていて、そうした霊媒に振り回されて信じておられる霊能者の方 があります。
その霊媒さんに入った男の稲荷神さんは、ほれ、皆、神示を聞きたくて必死だ。皆、欲が
強いのと笑っています。私は下げた供物の中にお酒があるので、お酒でも飲みましょうか と言ったところ、飲もうかとなって二人で酒を飲み始めたのです。
しばらく飲んでいてほろ酔い気分。すると、御塚の前で神示を下ろしていた女先生が、そ
こで酒を飲んでいるの、出番だと呼ばれます。霊媒に入って私に語りかけて来た御神霊が 自分を祭ってくれている家の者に神示を告げる順番が来たわけです。
で、自分の番が来たので行くわと言われます。私は行ってらっしゃいで、手を振っておき
ました。その御神霊は女先生の体を借りて、その御神霊をお祭りする講員さんに神示を告 げておられる様子。
それが終わった途端、女先生がかなわん。かなわん。誰だ、御神霊に酒を飲ましたの
は。酒臭い。酒臭い。私が酔っぱらってしまったと言われる。酒を飲んでいない女先生が、 酒を飲んだ御神霊の霊媒となっただけで酔ってしまったわけです。
それを聞いていた私は、すみません。私ですと謝っておきました。それで、霊媒で私と酒
を酌み交わした方を見ると、自分は酒など飲んでいませんと言われる。完全にしらふであ った。
よく、酒が入ると何もかも記憶を無くして、暴れて警察のご厄介になる方があります。某
女優さんが有名なのですが、本人が飲んでいるではなくて、体に酒を入れると、酒乱の御 先祖霊が入って酒を飲んでしまう。そうしたことが言われいます。
霊媒体質の方には起きやすい出来事です。しかし、世間はそうしたことを知らないので、
何かと言われてしまうわけです。
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